2012年02月15日

鉄のこと2 金床とハンマー

金床  ANVILとハンマー
鍛冶屋にもっとも必要な 金床(かなとこ、アンビル)とハンマー、金床の本体は鋳物ですが、TOPの表面は鋼で出来ています。 アメリカで6週間鉄の講座を受けて始めて四角の穴(ハーディーホール)、先端のツノ(ホーン)の意味が解り、感心しました。


丸いツノの形をしたホーンの上に金属を載せ角の丸いハンマーで叩くと金属は延びる。さらに半分づつ、ずらしながら叩く(ハーフブロー)と細長い形が出来上がる。 このことをドローアウトまたはテーパーリング  といい鍛造の最も初歩的な技術で、植物のつたのように形作るスクロールには欠かせないものの1つです。
鉄の棒を曲げる時のみ使用していた四角の穴はハーディ チズルをセットしてハンマーで叩き鉄を切断したり、自作で作ったホルダーをセットしたりするものだとわかりました。
ハーディー チズルは鉄を炉(コールフォージ)で焼く場合と生の鉄を切る場合では先端の角度が異なります。生の鉄を切る場合は先端が鈍角です。
 今でこそ高速カッターやディスクグラインダーがありますが、モーターのない産業革命以前、既に鍛鉄の技法は確立しいていた訳でハーディー  チズルは十分役立ったに違いありません。
阿蘇ものづくり学校の鉄工塾では電気のない状態を想像しての作業、 あるのは火と金床、そしてハンマーを強調して行います。
余談ですがJ.C.C.Fでは金床を爆薬で飛ばすイベントがあります。ユーチューブで見つけましたので参考にしてください How to Shoot an Anvil 200 Feet in the Air。

 ハンマーの形は国によりいろいろです。日本のハンマーは柄の重心は上のほうにあります。振り上げる時に力は要るが降ろす時は力が要らず楽とのこと。アメリカのハンマーは重心が中央に位置しています。



左2本が日本  右2本アメリカ
彼らは非常に大きな、重いハンマーを女性のBLACKSMITHでも軽々と使いこなしています。私がよく使用するハンマーは800g、950gです。

現在はさまざまなハンマーが使用されています。足ふみハンマー(トリドルハンマー)。



電気のない山奥とかでは威力を発揮します。ペダルを踏むことでハンマーヘッド約10 Kgの鉛が上下に動き、ハンマーとして利用するものです。ペダルを強く踏むため日ごろあまり使わない太ももの裏の筋肉が痛くなるようです。
3相200V(動力線)5馬力以上のコンプレッサーを使いエアーハンマー(Ron Kinyonデザイン)がお勧めです。ペダルを踏めばエアーによりシリンダーの先端のハンマーヘッドが上下し鉄を一気にフォージします。



シリンダーの径に比例して強力なパワーが得られます。
オープンスタジオではABANAエアーハンマーの製造、販売もしています。
アメリカではリトル ジャイアントという古いスプリングハンマーがあり、今でもABANAのメンバーは使っています。
ドイツのクーヘンというハンマーは、あまり鉄を焼く必要がなく、ハンマーリングするとどんどん鉄が赤くなっていき、すばやくフォージ出来るすばらしいものです。値段もすばらしい。連続的な打撃により電子レンジのような状態になりひとりでに熱くなるようです。
  


Posted by ミツ at 13:29Comments(0)